人生初の染髪をしたら新たな扉が開いた

人生初の染髪にワクワクが止まらない。

 

昨日ドラッグイレブンで買っておいたそれを手に取る。

 

パッケージの文字を食い入るように眺める。子供の頃ゲーム買ってもらった時もこんな感じだった気がしないでもない。

 

茶髪の母親に先生になってもらい、それに嬉々として教鞭をとる母。親子は似るものである。

 

いよいよ染髪の時だ。洗面所で泡タイプのそれを小分けにし液体と粉を入れる。今からこの色になるのか…とダークブラウンの粉に思いを馳せながら容器に投入し、ふたを閉めてシェイク。気分はダンサーだ。今この瞬間世界中の誰よりもシェイクを楽しんでると自信を持って言える腰の入れ方に母もびっくりである。

 

規定の30回を優に超え振られたそれは、ふたの上から分かるほど盛り上がっていた。

 

まずは片手で掬ってみる。うん。イイ感じだ。わからんけど

 

それをスッと頭の上にのせる。気分最高潮。21年間を共にした黒髪ともおさらばだ。それでも名残惜しさよりこれからの未来のほうに目が行く。

 

全体になじませるように髪の毛に泡を染み込ませる。皮膚に付かないように慎重になりながらも、高鳴った手の鼓動は抑えられない。耳の裏はすでに泡の根城になっていた。

 

自分の髪にこれほど気を払ったことなんて今までなかっただろう。染め残しのないように後ろ髪やもみあげも丁寧になぞる。

 

とりあえず全体になじませた。あとはタオルを被せて20分ほど待つ。待っている間に録画しておいたクレイジージャーニーを観る。いつもより面白かったのは言うまでもない。

 

時間になった。タオルを外し、鏡でチェックする。あれ、あんまり変わってない…ダークブラウン自体黒とそんなに変わらないし、こんなもんかと思いながら、シャワーをする。先生によればシャンプーは2回するのがいいらしい。なるほど。勉強になる。

 

かたく目を閉じて洗うのはシャンプーが怖かった頃以来だ。染髪剤が目に入らないのとお楽しみ倍増の効果もあり一石二鳥である。

 

手触りから違和感が消えるまでシャワーで洗い流し、ゆっくりと目を開けた。

 

瞬間、そこには美が広がっていた。文字通り美。黒とほぼ大差ないダークブラウン。色の差から言えば大したことはないし、言わなければ誰からも気付かれないだろう小さな変化だ。しかし自分にはとても大きい変化だった。自分史にいつもと変わらない、しかし、どれよりもくっきりとした足跡が刻まれたのだ。とても嬉しかった。ある種の成長である。殻を破る快感に久々に出会えた。自分は今日新たな一歩を踏み出せたのだ。

 

すべてに感謝し、先生に礼を言った。いつもと違うねという言葉が素直に嬉しかった。いつもの自分が嫌いなわけではない。留まっていた自分と決別できたことに嬉しかったのだ。

 

無性に花に水をあげたくなり、慣れない手つきでじょうろに水を入れる。自分家の庭ってこんなに綺麗だったのか。先生がいつも育てている花はにっこり笑顔で自分を迎えてくれた。いつもとは違う新しい自分を。そんな気がして、多めに水を上げる。そんな一日でした。